今日は田舎暮らしをはじめて、しばらく田舎で暮らした、その後の話です。
仕事を取るか、田舎を取るか、そんな葛藤があった話です。
田舎に何を求めるかということですね。
その時に、物件を売りに出したのですが、今ならあっという間に売れるはずの田舎物件がぜんぜん売れませんでした。
やっぱり不動産屋の実力って大事なあと思った話です。
犬も歩けば棒にあたる
田舎に来てからというもの、まさか自分がこんなに活動的になるとは思っていませんでした。
田舎暮らしを始めてから独立開業したのが大きいかもしれません。
仕事が予想以上にうまくいって、あっというまにサラリーマン時代の年収を超えてしまったので、
もっともっと頑張ろうって気持ちになったんでしょうね。
色々な人と会って仕事の幅と自らの視野を広げて、なおかつ社会に貢献しようと思ったのです。
実際、前回のブログで出てきた「ベジタリアン」の人たちもそうですが、とても多くの業界の人と出会うことができました。
・・・あ、誤解のないように言っておきますが、僕はベジタリアンの人が嫌いなわけじゃありません!笑
そもそも誰が何を食べようが自由だと思っていますが、食文化の押しつけや、食文化への軽蔑はやめようねって思ってるだけです。
そこだけは声を「大」にして言いたいです。
それはさておき、犬も歩けば棒に当たると言いますよね。
この格言(ことわざ)はまさに行動することの真意を表しています。
活動的に動き回れば動きまわるほど、いろんな出来事に会い、色んな人に出会い、中には嫌な思いをすることもあれば。
幸せな思いをすることもあります。
もちろん、動かなければ平穏な毎日が得られますが、でも、動かないと何も新しいことは始まらないという極意の格言なのです。
実際、色々歩き回って、行動的になるほど悩みは増えます。
例えば、100の機会があれば数回はとっても嫌なことがあります。
そして、とても嫌な人がいます、気を付けないとヤ◎ザもいます。
死ぬまでトラウマになりかねない強烈なインパクトです。笑
この数回のリスクをどう見るか?です。
でも反対に数回ほどは願ってもないビッグチャンスだったりします。
リスクとチャンスの天秤ですよね。
でも、これが面白いのです。笑
この面白さは行動した人じゃないと味わえないですが、根が心配性の僕は、どっちかというとリスクを避ける傾向があるかもしれませんけどね。苦笑
クライアントが田舎にいないと、結果どうなるか?
僕は田舎暮らしをするまで、いつも「何かを目指す人」でした。
その夢が僕には高すぎて、それがなかなか達成できずに、過去には不幸な思い出しかありませんでした。
でも、田舎暮らしの場合は、「田舎暮らし」自体が目的でしたから、引っ越しただけで、いきなり「夢を達成した人」になったわけです。
なので、田舎でのんびり仕事だけをしてボーっとしていれば、普通に「夢を達成した人」として、ずっと幸せだったのかもしれません。
でも人間というのは欲張りな生き物でして、何かを達成すれば、また次の何かを目指したくなります。
物欲に似てますね。
良い家や車、服や食事など、上を見ればキリがなくなります。
同様に、仕事でうまくいくと、もっと多くの仕事をしたくなります。
でも、僕のITという仕事がら、クライアントさんの9割以上が東京・大阪でした。
当時はとにかく打ち合わせが多かったですから、往復4~5時間、時には満員電車にも乗らざるを得ません。
せっかく通勤地獄から抜け出したのに意味ないなと。
いっそのこと都内にオフィスを借りようと思ったのです。
都内の下町にサテライトオフィスを借りる!
そして、ネットで都内のオフィスを検索したのですが、いやあ、アホみたいに家賃が高かったですね。。。苦笑
敷金礼金も10ケ月分が慣例とか、なんでやねん!
こりゃ無理だ。。。
でも、やっぱり打ち合わせのたびに都内に出るのも激しく面倒だし、時間帯によっては超・混雑する満員電車に長時間乗らなければならない。
絶対に嫌だなと思って、都内は都内でも下町にオフィスを借りることにしたのです。
しかもSOHOオフィス可能(登記OK)な普通の賃貸物件です。
それを、某下町の主要ターミナル駅から歩いて15分のところに見つけたのです。
これはラッキー!
家賃は5万円弱で広さ6畳程度のリノベーション物件。
しかも、敷金と礼金は合計で1ヶ月分。
さらにミニキッチン付きでシャワーも付いているから、
なんとそこで暮らそうと思えば暮らせます。笑
そして予想外に嬉しいことに隣の土地が駐車場になっていて、3万円弱で借りることができたのです。
さすが都内の駐車場、賃料はけっこう高額ですが、でもこれでオフィスに行くのに電車に乗ることもありません。
毎月10万円以内で駐車場付きのオフィス物件、歩いてすぐにターミナル駅ならではの大きな商店街に出られます。
駅ビルもあるし、何もかも不自由なく暮らせるという、割と大満足の物件を契約したのです。
人間、便利には勝てないのさ・・・
2年ばかり田舎で暮らしてましたから、田舎の「モノやサービスの少なさ」は実感として感じてました。
それが一転して、全てのモノとサービスのある場所で暮らしましたので、その便利さのインパクトは非常に強烈でした。
二拠点生活、いわゆる前回にブログで書いたデュアラー生活における、ギャップを楽しむというパターンですね。
ところがですね、当時の自分はまだ一人暮らし。
ギャップを楽しむというよりビジネスを楽しむ方が勝ってました。
むしろ、ギャップなど無用だと思ったくらい。苦笑
仮に、田舎に妻を残している状況なら平日だけ都内にいて、土日は田舎で暮らす、みたいなことになったのでしょうけど、一人であれば田舎に帰る理由もほとんどありません。苦笑
しかも、当時は今ほどガーデニングに燃えてませんでしたし、しばらく庭も放ったらかしで雑草生え放題にしていました。
そもそも植物の世話をするほどたくさん植えてなかったのです。
もちろん、まだ新築ですし「もったいないなあ」とは思いましたが、都内にいる圧倒的な便利さというメリットの方が断然優先したのです。
結局1年くらいでしょうか、田舎の家にほとんど帰らず都内オフィスで暮らしたのです。
謎の田舎の老紳士に会い新ビジネスをスタート?
くどいようですが、当時の僕は、今までになく、やたらめったら人に会っていました。
とくに自分が得意なIT(システム構築)を使って、新しいサービスを作りたかったので、なんらかのビジネスアイデアを持った人を中心に会っていました。
相手はシステムを作りたいけど資金がない
僕はシステムを簡単に作れるけどアイデアがない
このマッチングを探していたのです。
もちろん僕も、頼まれてシステムを作ることも大好きですが、せっかく自分でシステムを作れるのですから、何らかのサービスを自ら(または仲間と)立ち上げたいじゃないですか。
ま、結局今だに何もアイデアも出ず、宝の持ち腐れ状態ですが。笑
ある時、ブログを通じて僕に会いたいという人が現れました。
当時はブログがコミュニケーションツールでしたので、ブログ経由で会って話したいというビジネスパーソンはたくさんいました。
(もちろん、MLMとか怪しい人も2割くらいいましたけどね。)
その中で、地球環境を第一に考えたビジネスをやっていきたいという老紳士と出会いました。
そして、会ってミーティングをすることになったのですが、なんとその人も田舎暮らしをしている人だったのです。
なんだよ不動産屋かよ!
その老紳士は既にビジネスで成功を収めており、その会社の会長職について、半ば引退したというのです。
そこまで聞くとすごくセレブな老紳士って感じですが、セレブ感はほとんどなく、親しみやすい感じの人でした。
ただ、会社の会長職と言っても、会社自体は数名の会社で、困っては無いけども、さほど資金が潤沢というわけでもなく。
しかも現社長とも少しばかり対立しているようなそんな雰囲気でした。苦笑
そこで、その会社の一線は退いて、心機一転、世のため人の為になる新しいビジネスを始めたいというのです。
でも、あんまし資金が無い、そういう感じでした。苦笑
なるほど、では具体的には何を始めるんですか?
と核心をついたところ、どうも不動産会社を始めたいというのです。
僕は頭の中が、
「????????????」
でした。苦笑
おいおい、いかにも引退後の小遣い稼ぎで始める「ありがちパターン」じゃないか!
と思いつつも、もう少し話を聞きますと、
普通の不動産屋ではなく、地球環境に良いことをする不動産屋なのだと。
なにそれ!?
では具体的に何をするかというと、田舎暮らしをしたい人を応援するため、田舎暮らし物件を扱う不動産業ということらしいのです。。。
まあ、東京一極集中の弊害を考えれば、間接的に地球環境に一役買えるのかもしれませんけども、うーん・・・。汗
まあ、「田舎暮らし」は当時くらいから流行ってきてましたから、ちゃんとやればうまくいくと思いましたけどね。
でも、あまりに発想が「ありがち」過ぎて自分的には「つまんない」というか……。
しかも、地球環境を掲げておいて、結果「不動産屋」って、あまりに大義名分が過ぎるのではないかと……。苦笑
ま、色々と思うことはありましたが、人のよさそうな老紳士だったので、純粋な人なんだろうなと思って協力しようと思ったのでした。
不動産屋をなめてるんじゃないよ!
さて、老紳士はもうすでに不動産屋としての準備、宅建主任者の資格や手続きなど終わっていたようです。
なるほど本気なんだなと。
そこで僕は、自分自身の田舎暮らしで大変お世話になった、同じく不動産屋さんのSさんと引き合わせてあげることにしました。
Sさんについては過去のブログで紹介してます。
当時は不動産屋さんでありながら、間取りなど家の仕様をすべて考えて、材料の仕入れから発注、職人さんの手配まで全部一人でこなし、照明などインテリアまでコーディネートしたかと思えば現場監督もこなす。
しかも、かなりのハイセンスの持ち主。
きっとその老紳士もSさんと会えば何か得るものがあるでしょうと、アポだけ取っておいてあげたのでした。
まあ、不動産屋ということで業界間で挨拶も必要かと思いますしね。
その後しばらくして、Sさんと会う機会がありまして、その老紳士の印象を聞いたところ、「ちょっと厳しいね、かなりナメてるね、あれじゃダメだよ。」とのことでした。。。苦笑
まあ初めてのことなので大目に見てやってください、的な話をしてその場は終わりましたが、まあ、そんなもんだろうなと・・・。苦笑
決算・売上ほとんどなし・どうする?
その後、老紳士の「地球環境不動産」は決算となり、ご丁寧に協力者全員を集めて決算打ち合わせとなりました。
決算書を見るに売上はほとんどなし。
まあ、そんなもんでしょうね。
不動産屋さんって「ある意味で美味しい商売」でして、1件でも成約できれば仲介手数料で100万円ほど入るので、年間に数件ほど売れば、人一人くらい十分に生きていけるのです。
ま、でも、地球環境不動産を見るに、年間数件売るどころか、1件売るにも割と大変なんだなあと思った次第です。苦笑
ちなみに僕は協力してるんですが、なにか報酬がもらえるわけでなく、自分からも報酬をくれと頼むこともなく、ただ、老紳士が運営する不動産屋ブログと物件ページを、たまーにメンテする程度でした。
まあ、将来的に儲かってきたら「分け前をくれ」とか言おうかなと、思っていましたけどもね。
その機会は訪れませんでしたけどね。笑
ついに田舎物件を売りに出すことに!
さて、老紳士の地球環境不動産屋さんを横目に、僕の仕事は年々忙しくなっていきました。
正直なところ、老紳士のゆる~い感じのビジネスには、あまり付き合っていられなくなってきたのです。
(不動産屋なんて慈善事業でもないしね。苦笑)
しかも、その頃は何か月も田舎の家に帰らず、都内のサテライトオフィスで寝泊まりしており、田舎の家がもったいないなあという思いが最高潮に達したのです。
そこでふと思いつきました。
そういえば老紳士の不動産屋さん、ちっとも売上が上がってなかったよなぁ。。。
そうだ、田舎の家を売りに出してもらおうかな、それで少しでも売上になればいいよね。
思い立ったら即行動が僕のポリシーなので、さっそく老紳士に連絡をしまして売り出しの手配をしたのです。
でも、そこで頭をよぎったのはご近所さんとSさんでした。
とくに、Sさんは同業ですから売りに出せば気が付いてしまうので、事前にお声をかけておくことにしました。
例の「不動産業をなめてる」老紳士に、Sさんに建ててもらった家を売りに出してもらうことにしますよと。
思いっきり近所の人にバレた件
それからしばらくして、老紳士の不動産屋さんに連絡しました。
あれから状況はどうですか?
老紳士が言うに、近所の不動産屋各社にもFAXで物件案内を出したし、出来ることは全部しましたよと。
不動産業というのは、自分のところで売れば買主と売主から手数料をとれます。(俗に両手と言います)
でも、より多くの人に物件を知ってもらうために他社さんへも紹介するのです。
その場合、買主は他社さんへ手数料を払うので、老紳士は売主の僕からしか手数料が入りません。(片手)
その代わり売れる機会は増えるメリットもあるのです。
でもね、、、
別に僕は売り急いでるわけでもないし、むしろ、あまり「人に知られたくない」って言ってるのに、おいおいFAXであちこちばらまくなよ、と。。。苦笑
正直、「なにやってんだ?感」が半端ありませんでした。
でも、初めての不動産業ですし、仕方ないと思い黙っていたんですが、ある時に都内のオフィスから田舎の家に帰ってきてビックリ!
な、な、なんと、家をぐるっと紐で囲われて、その紐に赤い大きな字で、
売家
って貼ってあったのです!
車から降りて急いでそれらを剥がしまして、老紳士に慌てて連絡です。。。
老紳士との決別
あぁ、大問題が起きました。
近所の人には絶対にバレないと思っていたのですが、あっという間にばれました。笑
あれだけ「こっそり売りに出したい」って伝えたのに、いくら不動産業の素人と言っても、
ぜんぜんなんにも知らないのかよ!?
そんなの不動産屋としてもうまくいくわけないです。
そりゃSさんが言う通り、業界をナメすぎです。
まあ、本来は田舎物件は売りやすいはずで、
実際、すぐ売れたというブログも以下の通り過去に書いております。
実際、けっこう長い期間売りに出したのにまったく買い手がつかず・・・。
そこで、すぐさま電話で連絡すると、老紳士の言い分。
「家を売りたい時は近所の人に知ってもらうのが一番良い」
とのこと。。。
いやいやいや、だーかーらー、誰にも知られずにこっそり売ってほしいって言いましたよね?苦笑
とくに近所の人には売れるまで知られたくないんです。
売れた時に挨拶に行って、終わりにしたかったんですよ!
という内容の話をしたのですが、老紳士もなんとなく納得がいかないような感じだったので、いったん家の売却は中断してもらうようにしました。
夫婦経営の不動産屋の手伝い?
その後も、ちょいちょい老紳士のブログやホームページのサポートをしていたんですがね。
報酬無しで「不動産屋さんの事務員」のようなことをする僕に気を使い始めたのか、老紳士の奥さんにブログやホームページの管理をやらせたいから教えてくれと連絡が来ました。
まあ、それは構わないですが、それをしたら僕が地球環境改善プロジェクト不動産に参加してる意味はなくなりますよね。
それが唯一の仕事だったのに、それがなくなったら、ただのオブザーバーです。苦笑
まあ、その時には老紳士のプロジェクトに期待するものは皆無に近かったので、別にここでプロジェクトから外されようと別に何とも思ってはいませんでしたけどね。
結局、善意のつもりで、半年くらい、たまに来る質問にメールで答えたでしょうか。
でも、僕もかなり忙しくなっており、このまま延々とブログ運営の質問が来ても困るので、
「簡単なことは自分で調べてやってみてください」
と厳しめに返事をしましたら、それ以来、何も連絡が来なくなったのでした・・・。苦笑
結局、慈善事業でも何でもない夫婦経営の不動産屋のお手伝いを、1年ほど無償でやっていただけというアホみたいな話です。。。苦笑
老紳士は慈善の気持ちのある人だった
もちろん、あれ以来、老紳士から連絡はありません。
不動産屋のホームページやブログも無くなってます。
まったく無関係の遠方の業者が、そのドメインを購入して別のサイトになってます。。。苦笑
でも、ひとつだけ良かったことがあります。
この老紳士は、心の底には社会貢献をしたいという思いが、本当に存在していたからです。
当初、ただ単に田舎物件を扱う不動産屋なだけで、これこそ「地球環境改善の社会貢献」だ、などと、大義名分にも程がある拡大解釈を掲げて、実は金儲けがしたい老紳士なのか?と半分くらい疑ってましたが、今、この老紳士は細々という感じではありますが、着実に社会貢献活動をされていることがわかったのです。
あの不動産業の失敗のあとに始めたようです。
僕は結局、寄付という形でしか現在は活動できてませんが、老紳士は何人かのボランティアさんを束ねて、恵まれない子供のために実地で活動をされているようです。
なぜかそれを知った時に救われた気持ちになったものです。